
「お尻から太ももの裏にかけて、電気が走るように痛い」 「ふくらはぎがパンパンに張って、しびれている」 「湿布を貼っても、整体でお尻を揉んでもらっても、すぐに痛みがぶり返す」
週明けの月曜日、そんなつらい痛みと共に目を覚ました方はいらっしゃいませんか? それは単なる筋肉痛ではなく、「坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)」という、神経のSOSサインかもしれません。
こんにちは、世田谷人工関節・脊椎クリニック 脊椎脊髄外科専門医の大友 望です。
今日は、多くの方が誤解している「坐骨神経痛の正体」と、漫然と薬を飲み続けることのリスク、そして根本治療についてお話しします。
そもそも「坐骨神経痛」という病気はありません
驚かれるかもしれませんが、「坐骨神経痛」というのは「病名」ではなく、「頭痛」や「腹痛」と同じ「症状の名前」です。
腰から足にかけて伸びる、人体で一番太い神経(坐骨神経)が、「どこか」で圧迫されたり刺激されたりして、「痛い!助けてくれぇ!」と叫んでいる状態。 それが坐骨神経痛です。
つまり、「犯人(原因)」を見つけ出さない限り、いくら湿布を貼っても痛み止めを飲んでも、痛みは何度でも繰り返します。
よく「前の病院で坐骨神経痛と言われて薬を飲んでいるけど、全然治りません」という患者様がいらっしゃいます。
これ、お腹の痛みに例えると分かりやすいんです。
もし、お腹が痛くて内科に行ったときに、「あなたの病名はなんと『腹痛』です!とりあえず薬を出しておきますね」と言われたらどう思いますか?
「いやいや、腹痛なのはわかってるよ!原因は何?ちゃんと調べてよ!」って思いますよね。
坐骨神経痛もそれと同じです。原因(ヘルニアなのか狭窄症なのか、それとも別の何かか)を突き止めずに薬だけ飲むのは、ゴールのないマラソンを走るようなものなのです。
あなたの痛みの「犯人」はどっち?
坐骨神経痛を引き起こす「真犯人」は、主に腰の骨の中に隠れています。年代によって犯人が違うことが多いです。
1.20代〜40代に多い犯人:「腰椎椎間板ヘルニア」
背骨のクッション(椎間板)が飛び出し、神経を直接圧迫しています。
- 前かがみになると痛い
- 靴下を履く動作がつらい
- 片方の足だけに激痛が走る これらが特徴です。
★詳しくは、昨日のブログ記事『【腰椎椎間板ヘルニア】自然に治るって本当?』もぜひ併せてご覧ください。
2.50代以降に多い犯人:「腰部脊柱管狭窄症」
加齢により背骨の神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が締め付けられています。
- 後ろに反ると痛い
- 歩いていると足がしびれてくるが、休むと治る(間欠性跛行)
- 両足にしびれが出ることがある これらが特徴です。
薬や注射は「痛み止め」であって「治療」ではありません
「病院に行っても、痛み止めと湿布をもらって終わり」 「ブロック注射を打った時はいいけど、すぐ痛みがぶり返す」
そう感じている患者様は非常に多いです。 厳しい言い方になりますが、薬や注射はあくまで「痛みを感じにくくする(対症療法)」だけであって、痛みの原因(神経を圧迫しているヘルニアや骨のズレ)そのものを消しているわけではありません。
原因がそこにある限り、薬が切れれば痛むのは当然です。 あなたは、どちらを選びますか?
- 「一生、薬を飲み続けて痛みを誤魔化す生活」
- 「原因を取り除いて、薬のいらないスッキリした生活」
「手術」=「怖い」? 今は内視鏡で「原因だけ」を取り除けます
「原因を取り除く=手術」と聞くと、怖がる方が多いですが、今の医療は劇的に進化しています。 昔のように背中を大きく切る必要はありません。
当院の内視鏡手術(MEL/MED)なら、
- 傷口はわずか16mm(指先サイズ)
- 悪い部分(ヘルニアや分厚くなった靭帯)だけをピンポイントで切除
- 健康な筋肉や骨は温存
そのため、身体への負担が極めて少なく、手術翌日からスタスタ歩いて、2日後には自宅退院される方がほとんどです。 「こんなに楽になるなら、何年も我慢せずに早く取ってしまえばよかったわ」 術後、そう仰って笑顔で帰られる患者様が後を絶ちません。
注意! やってはいけない「自己流マッサージ」
ちなみに、「お尻の筋肉が固まっているからだ」と思い込み、テニスボールでお尻をグリグリと強くマッサージするなど自己流のマッサージをしていませんか?
もし原因がヘルニアなどの「神経の炎症」だった場合、強いマッサージは逆効果になることが多いと言われています。 炎症を起こしている神経をさらに刺激してしまい、痛みの悪化や、最悪の場合筋力低下(麻痺)を招いてしまうこともあります。 自己判断でのケアは、今すぐやめましょう。
まとめ:あなたの人生の時間は有限です
痛みに耐えながら、憂鬱な気分で過ごす1年。 痛みのない体で、仕事や趣味に打ち込む1年。
同じ1年でも、その価値は全く違います。
「手術」は、痛みの原因を物理的に除去する唯一の根本治療です。
まずはMRI検査で、あなたの痛みを作っている「敵(原因)」の正体を見極めましょう。 その上で、保存療法でいくか、内視鏡で治してしまうか。 あなたのライフスタイルに合わせたベストな選択を、脊椎脊髄外科専門医として提案します。
当院では、最短で当日にMRI撮影が可能です(予約状況によります)。
その痛み、諦めずにまずはご相談ください。
参考文献
- 日本整形外科学会:症状・病気をしらべる「坐骨神経痛」
- Konstantinou K, et al. Sciatica: an epidemiological review of definitions, classification, and prevalence. Spine. 2015.
【執筆】大友望 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本脊椎脊髄病学会認定 指導医
日本専門医機構 脊椎脊髄外科専門医