症状・原因から手術(内視鏡手術や脊髄刺激療法)まで脊椎専門医が徹底解説

「少し歩くと足がしびれて、休まないと歩けない…」 「スーパーへの買い物すら、休憩が必要で億劫になってしまった」
今、このページをご覧のあなたは、このような足腰のつらさにお悩みではありませんか? 「もう歳だから仕方がない」「マッサージに行っても治らない」と諦めかけているその症状、実は「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」という病気である可能性が高いです。
はじめまして。世田谷人工関節・脊椎クリニック 脊椎脊髄外科専門医の大友 望です。
この記事では、脊柱管狭窄症の正体から、ご自身でできるチェック方法、そして「手術への恐怖」を払拭する治療方法について、お話しします。
読み終える頃には、あなたの「治らないかもしれない」という不安は消え、「ここなら治せるかもしれない」という希望に変わっているはずです。
その痛み、諦める必要はありません。
結論から申し上げます。 腰部脊柱管狭窄症は、適切な治療を行えば、しっかりと改善する病気です。
「手術は怖い」「車椅子になったらどうしよう」という不安があるかもしれません。しかし、医療は進化しています。 当院では、傷口わずか16mmの内視鏡手術から、難治性の痛みをブロックする脊髄刺激療法(SCS)まで、あらゆる選択肢を用意しています。
「私の腰はもう手遅れ?」なんて思う必要はありません。まずは正しく敵(病気)を知ることから始めましょう。
脊柱管狭窄症とは? 神経の「トンネル」が狭くなる病気
難しい漢字が並んでいますが、仕組みは単純です。
背骨の中には、脳から続く神経の束が通る「トンネル」があります。これを専門用語で「脊柱管(せきちゅうかん)」と呼びます。
加齢によって背骨が変形したり、クッションである椎間板(ついかんばん)が飛び出したり、黄色靭帯(おうしょくじんたい)という組織が分厚くなったりすることで、このトンネルが狭くなってしまいます。 その結果、中を通る神経がギュッと締め付けられ、腰痛や足のしびれを引き起こすのです。
つまり、「古くなった水道管の中にサビが溜まって、水の通りが悪くなっている状態」だとイメージしてください。
最大の特徴「間欠性跛行」
この病気の最も特徴的なサインが「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。
- 歩き始めは平気だが、5分〜10分歩くと足がしびれて痛くなる。
- しゃがみ込んで少し休むと、嘘のように楽になり、また歩けるようになる。
- 自転車に乗っているときは、いくら漕いでも痛くない。
これらに当てはまるなら、脊柱管狭窄症の可能性が非常に高いと言えます。 「前かがみ(猫背)」になると神経のトンネルが少し広がるため、症状が楽になるのが特徴です。
治療の選択肢…薬で様子を見るか、手術を決断するか
診断は、MRI検査を行えば一発で分かります。レントゲンだけでは神経の状態までは見えません。 では、診断がついた後、どのような治療を行うのでしょうか。
1. 保存療法(まずはここから)
症状が軽い場合は、手術以外の方法(保存療法)を選択します。
- 薬物療法: 神経の血流を良くする薬や痛みを軽減させる、いわゆる「痛み止め」の薬。
- ブロック注射: 神経の近くに麻酔薬を打ち、一時的に痛みを抑える。
- リハビリ: 姿勢改善やストレッチ。
しかし、残念ながらこれらは「対症療法(痛みを誤魔化す治療)」であり、狭くなったトンネル自体を広げる「根本治療」ではありません。
2. 手術療法(根本的に治す)
保存療法を続けても効果がなく、「生活の質(QOL)」が下がったときが、手術を決断すべきタイミングです。 具体的には以下の項目が目安です。
- 排尿・排便障害がある(おしっこが出にくい、漏らす) ※緊急性が高い
- 筋力低下(脱力感がある、スリッパが脱げやすい、つまづく)
- 歩ける距離が短くなり、旅行や買い物が楽しめない
- 腰や足の痛み、しびれが進行して、薬やリハビリで治療効果が得られない
ここで多くの患者様が「手術は怖い」と躊躇されます。 しかし、当院の手術は、皆さんが想像する「昔の手術」とは全く別物です。
腰部脊柱管狭窄症の手術

内視鏡からSCSまで。「全術式」を扱えるからこそできる提案
多くの脊椎クリニックは、「内視鏡手術しかやりません」あるいは「側弯症の手術を多くやっています」と、得意な手術に偏りがちです。 しかし、患者様の背骨の状態は一人ひとり違います。すべての患者様に同じ手術を行うのは、無理があるのです。
「内視鏡しかできないから内視鏡を勧める」のではなく、「全ての選択肢の中から、あなたにとってベストな方法を選ぶ」ことができる。これが当院の最大の強みであり、他院との決定的な違いです。
当院の3つの武器
① 身体に優しい内視鏡下腰椎椎弓形成術(MEL)
背中の筋肉を剥がさず、わずか16mm(指の爪程度)の傷口から内視鏡を入れて、神経を圧迫している骨や靭帯を削り取ります。メリットは、 出血が少なく、術後の痛みも軽く、回復が早いこと。対象は 多くの脊柱管狭窄症やヘルニアの患者様です。
② 3D技術による患者様一人ひとりにあわせたオーダーメイドのスクリューガイド
背骨がグラグラと不安定な「すべり症」などを併発している場合は、固定術が必要です。当院では、患者様のCTデータから3Dプリンタで患者様一人ひとりに「患者適合型ガイド」を作成。背骨にスクリューを入れる位置をミリ単位で正確にガイドします。 これにより、安全かつ確実な固定術が可能になります。
③ 「手術したのに痛い」「背骨や神経の手術は怖い」という悩みを救う最後の砦 脊髄刺激療法(SCS)
ここが最もお伝えしたいポイントです。 他院で手術を受けたけれど痛みが取れない方、あるいは持病で大きな手術ができない方へ。 当院は、脊髄刺激療法(SCS)において日本トップクラスの実績を誇ります。
SCSとは、背中に細いリード線を入れ、微弱な電気を流すことで「痛みの信号」が脳に届くのをブロックする治療法です。
- お試しが可能: 本当に効くかどうか、リード線だけを入れて2-3日間テスト(トライアル)ができます。他の治療法にない唯一無二の特徴です。
- 骨を削ったり、神経に触れたりしない: 他の脊椎手術のように脊柱管をひろげたり、骨にスクリューをいれたりするような手技はありません。
「もう治らない」と諦める前に、SCSという選択肢があることを知ってください。
あなたの足腰、私たちが守ります。
腰部脊柱管狭窄症は、決して治らない病気ではありません。 「歩けなくなる恐怖」を抱えたまま余生を過ごすのか、それとも適切な治療を受けて、もう一度旅行や散歩を楽しむ人生を取り戻すのか。
その鍵は、「誰に診てもらうか」にかかっています。
まずはMRI検査で、あなたの背骨の状態を正確に知ることから始めましょう。
「手術する・しない」は、脊椎専門医の診察を受けてからゆっくり決めれば良いのです。 まずは一度、当院へご相談にいらしてください。
参考文献・ガイドライン
- 日本整形外科学会,日本脊椎脊髄病学会(監):腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2021(改訂第2版),南江堂,2021.
- 日本脊髄外科学会:脊髄外科の基礎知識「腰部脊柱管狭窄症」(最終閲覧日:2026年1月18日)
- Deer TR, et al. The Neuromodulation Appropriateness Consensus Committee on Best Practices for Spinal Cord Stimulation. Neuromodulation. 2014;17(6):554-564.
【執筆】大友望 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本脊椎脊髄病学会認定 指導医
日本専門医機構 脊椎脊髄外科専門医