
「台所に立つのがつらい…」その腰痛、ただの疲れではありません。
「最近、夕飯の支度をしていると、腰が重だるくて立っていられなくなる」 「洗濯物を干そうと手を上げると、腰が『カクン』と抜けるような感覚がある」
もし、このような症状に心当たりがあるなら、それは単なる筋肉疲労や「歳のせい」ではないかもしれません。 50代以降の女性に特有の「腰椎すべり症(ようついすべりしょう)」という病気の可能性が高いです。
こんにちは、世田谷人工関節・脊椎クリニック 脊椎脊髄外科医の大友 望です。
今日は、女性の腰を守るために、この「骨のズレ」について詳しくお話しします。
なぜ、女性のほうが骨がズレやすい?
腰椎すべり症とは、文字通り、積み木のように重なっている背骨の一つが、前方へ「ツルッ」「ズズッ」とすべってズレてしまう病気です。 ズレた骨が神経を引っ張ったり圧迫したりすることで、腰や下肢に激痛やしびれを引き起こします。
なぜ女性に多いのか? それは「女性ホルモンの減少」と関係があると言われています。 閉経後、骨や関節を支える力が弱くなる時期に、長年の家事や仕事の負担が重なり、不安定になった骨が耐えきれずにズレてしまうのです。
この病気の厄介なところは、「骨がグラグラ動いている(不安定)」ということです。 だからこそ、「腰が抜ける」「頼りない」といった独特の不安感に襲われます。
「固定術(ボルト)」への誤解と、最新技術「MYSPINE」
すべり症でグラグラになった背骨を治すには、ズレを戻してガッチリ止める「固定術」が必要になることがあります。
しかし、「背骨にボルト(スクリュー)を入れる」と聞くと、 「怖い!正確にボルトが入るのかしら?」 「スクリューが間違った方向にすすんで、神経を傷つけられたらどうしよう…」 と、尻込みしてしまう方がほとんどです。その気持ち、痛いほどよく分かります。
だからこそ、当院では患者様一人ひとり特注のスクリューガイド「MYSPINE(マイスパイン)」という最新技術を導入しています。
MYSPINE(マイスパイン)とは?
手術前に患者様のCTデータを撮り、その患者様の骨の形に完全にフィットする「オーダーメイドのガイド」を3Dプリンターで作製します。 このガイドを手術中に使用することで計算通りの完璧な位置にボルトを入れることができます。
- 安全: 神経や血管を傷つけるリスクが激減します。
- 低侵襲:傷が小さくすみますので、手術時間は短くなり、出血も少なくなります。
- 被曝低減: レントゲンを何度も撮る必要がないため、身体への負担が減ります。
当院は、この最先端技術を導入している数少ないクリニックの一つです。
「腰のグラつき」を止めて、安心な老後を
すべり症を放置すると、ズレは徐々に進行し、最終的には足の麻痺や排泄障害につながることもあります。 何より、「いつ腰が抜けるか分からない」という不安を抱えて生活するのは、精神的にもつらいものです。
「ボルトを入れる手術」は、怖いものではありません。 「グラグラの家を、耐震補強リフォームして頑丈にする」のと同じです。 固定してしまえば、骨は安定し、あの嫌な痛みや不安感から解放されます。
「最近、腰がおかしいな」と思ったら、まずはレントゲンを撮りに来てください。
あなたの骨の状態に合わせた、最適な治療法をご提案します。
【執筆】大友望 医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本脊椎脊髄病学会認定 指導医
日本専門医機構 脊椎脊髄外科専門医